飛び出したって、いいじゃないか。
- hinatadesign
- 1 日前
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現在参加者募集中の古民家ツアーの会場としている日本民家園の中で、好きなものの1つに
「菅(すげ)の船頭小屋」というものがあります。

多摩川の河川敷にあったという、面積わずか畳2枚分の小屋です。
そのうち半分に畳1枚が置かれた床があり、残りの半分は土間となっています。小さな土間の真ん中には小さな炉が切られています。
この、人がぴったり1人入れるだけのかわいらしい小屋は、渡し船の船頭が、客待ち・休憩・川の見張りに使っていたのだそうです。窓から川の様子が見え、ゴロンと横にもなれる、囲炉裏で火を焚けば暖もとれるし、茶も飲める。必要なものだけが過不足なくそろっています。
この体に寄り添うような、身体感覚に近いような建物に私はまず魅力を感じます。
外部と土間の間には2枚の障子が建てられています。
その障子を左右に開けば、小屋の幅いっぱいに開くというわけです。
ここで1つ気づくことがありますでしょうか。
障子に限らず、ふすまや板戸もそうですが、引戸を2枚建てる場合、通常は引違いの形にされることが多いです。
引違いは左右どちらからも開けられるので便利ですが、必ず片方には戸があるので、あいている部分は戸1枚分の幅になります。
この小屋の場合、それでは狭くて、土間を十分に活かせないため、引分け(両引き)戸が求められました。
といっても、戸の両側に戸を引込むスペースなどとうていありません。
「ええい、このまま飛び出してしまえ」と言ったかどうかはわかりませんが、
無理に戸の引込みスペースを確保するようなことはせず、引分けた障子はそのまま小屋の外まで飛び出させています。

これでいいのです。必要なことがこれで足りているのですから。
ということを、常識に囚われがちな私達に この小屋は思い出させてくれます。
また、これは障子が非常に軽くできているから成せる技である、ということも見逃してはいけません。
ただし、何のストッパーもつけていないため、開けすぎると戸がはずれてしまうので、ご用心。




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