設計のはなし
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設計のなかで私が日常的に考えていることをある集まりで話したところ、多くの方が興味を示してくれました。
そこでここでは、設計という行為そのものについて少しずつ書いていければと思います。
■アクティビティとは。
アクティビティとは活動のこと。こう書くと堅苦しい感じがしますが、ここでは、すまいの中の
ちょっとした動きの連続のことです。
冷蔵庫から冷たいお茶を出す。コップにいれて一口飲む。
のみかけのコップをカウンターにおいたまま、寝室に行き、読みかけの本を持ってくる。
洗面台の鏡の前を横切ったとき、髪を束ね直す。
こうしたちょっとした動きは、じっくり考えこんで行なってはいません。
もし、そこにカウンターがなかったら。
鏡をのぞいたとき、外の光が差し込んでいなかったら。
ささいなきっかけの連続でアクティビティは形づけられていきます。
アクティビティを空間と関連づけて考えるのが、わたしたち設計士の職能です。
時には大きなもの(家全体の形や色、階段の配置など)、
時にはほんの小さなこと(1つの段差、1枚の棚板など)をつなげていくことで、
たのしい空間をつくれたらと思っています。
■境界線とは。
空間と空間が接する部分のことを私がこう呼んでいます。
2枚のスケッチを見比べてください。
同じ大きさの部屋なのですが、手前の部屋と奥の部屋の関係が明らかに異なります。
部屋をもう1つほしいとき、
「では増やしましょう、壁をつくり扉を1枚つけましょう」
これだけが方法ではありません。
ある空間とある空間の関係を考えたとき、
きっちり区切りたい、少しだけあけたい、いや一体として使いたい、光は通したい、扉はつけないが別々の作業をしたい、開けたい時だけあけたい、等々、
本当はとても繊細な色々な関係があるはずです。
開けるか閉ざすかだけで解決せず、
その可能性をきちんと追求し、丁寧に境界線をつくることで、そこでの生活が何倍も豊かになります。
逆にここをおろそかにするのはもったいないと思っています。
■住まいの快適性を左右する
敷地のつかい方
自分の家を考えるとき、どんな大きさの部屋にしようか、何色の部屋がいいだろうか、と考え始める人も多いと思います。家の中にいるときの居心地はとても重要です。
その居心地に大きな影響を与えるものがあります。敷地の使い方です。
敷地のどこにどんな向きでどんな高さで建物を配置するか。
それにより室内から見える景観も、室内に入る光や風も変わります。
簡単な絵を描きながら、わかりやすく説明しています。