土や漆喰(しっくい)をコテで塗りつけて仕上げる仕事を左官と言います。
日本では長い間、壁と言えば、左官による塗り壁が主流でした。
庶民の土壁が、村の共同体で作られる素朴なものであった一方で、
左官職人による左官仕事は、高度な手業に洗練されて行きました。
左官職人による左官仕事は本来、
その場で求められる性能、建て主の好み、予算や材料に合わせて、いかようにも形を変えることができます。
豊富な知識、経験に基づいて、自然素材を調合し、手業を駆使することで、
目の粗い素朴な印象の壁から、洗練されたきめ細かな壁、絵画的に趣向をこらし
た壁、堅固に磨き上げた壁、様々に作り分けることのできる手法です。
平面を飛び出し、立体的な造形がつくられることもあります。
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左官職人 挾土秀平(はさど しゅうへい)さんの展示イベントが今、開催されています。
展示では、挾土さんの目や心が出会った印象的な風景が左官で表現されています。
1本1本のコテ跡に魂が宿るようでした。
私が初めて挟土さんに出会ったのは今から20年前で、そのとき既に挾土さんの事務所は、試行錯誤を繰り返した塗り壁のサンプルでいっぱいでした。
ぜひ左官という技の自由さを感じていただきたいと思います。
挾土秀平 「土に降る」
展示期間:2023年1月21日(土)~2月14日(火)
会場:寺田倉庫 G3-6F(東京モノレール 天王洲アイル駅より徒歩5分)
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