実はこの義務化に向け、法改正が予定されており、パブリックコメントの締切りが2022/1/7なのです。国民が意見を言える貴重な機会です。
パブリックコメント先のURL
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155210738&Mode=0
少し長いですが、ぜひ下記も読んでくださいね。
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コラム「建築物省エネ法1」では、建築物省エネ法の簡単な説明をしました。
この方法が1つの方法だとしても、これだけではかなり偏っていると思うのです。(理由は後述。)
2022年1月現在、この偏った基準を小規模の住宅も含むすべての建物に義務化しようという計画が立てられています。
すべてということは、もし私がこれから家を建てようと思うと、必ずこの建物省エネ法の基準に従わなければならない、ということです。
この基準に従わなくても、つまり工業製品である断熱材と高性能な設備機器ばかりに頼らずとも、地球環境の負荷を減らせる方法はあるはずです。それを採用したり、それにむけた創意工夫こそが大切な今この時に、その余地が奪われるのは大変危険なことです。
実は、1つだけこれから免れる方法があります。「気候風土適応住宅」と言って、伝統的な作り方に準じるものです(告示786号)。しかし、これに当てはまる建物は極一部で、構造や防火や住み手の要求などにより、当てはめることができないケースが多いのが実情なのです。
気候風土適応住宅の適応範囲を広げるのも1つ望まれることですが、そもそもの基準が偏っているのは大問題です。
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建築物省エネ法の基準が偏っていると考える理由。
理由1.
建物内の温熱環境を空気温度だけに偏って捉えていること。
実は、暑さ寒さには4要素が関わります。気温、湿度、風速、放射熱。
(むずかしいようですが、ふだん私たちが感じているものです。
乾燥地帯では、日射が強くても日陰に入れば涼しいのに対し、湿度の高い日本の夏の熱さは日陰に入るだけでは逃れられません。
また、冬の屋外でも陽だまりは暖かい。決してその場の空気温度が高くなっているわけではなく、太陽からの放射熱を体に直接受けているということ。)
理由2.
設備機器の生産から廃棄までをトータルで考える視点(LCAライフサイクルアセスメント)が抜け落ちたまま、
機器の性能ばかりに頼っていること。
理由3.
外構(防風林、木陰)、建物の形(窓の開け方、屋根勾配)、素材の使い方(木、土)や、住まい方の工夫(すだれ、打ち水)など、大きなエネルギーに頼らずに上記4要素を調整する工夫が、殆ど評価されず、
まずされるべきそういった工夫を促進させないこと。
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