各地で環境改善をされている造園家、高田宏臣さんのお話を聞く機会を得ました。
私の感じたことを交えながら、高田さんの本とお話の一部をご紹介したいと思います。
木々の働きと言えば、光合成と蒸散が思い浮かびます。私達に必要な酸素を作ってくれ、また夏には葉の蒸散による気化熱で通り抜ける風を冷却してくれます。
高田さんの本から、この蒸散の背景に
もっと大きなメカニズムがあることを知りました。
蒸散に至るために木々は根っこから水を吸い上げます。当たり前のように思っていましたが、考えてみると、この「吸い上げる」ができるのは植物だけです。
雨として空から降った水は、重力にしたがって下へ下へと行くものだと私は思っていました。ところが木が水を吸い上げるとき、水は重力に反し、上に移動するのです。水が吸い上げられることによって、まわりの水も引っ張られ、そこに毛細管現象も加わり、土の中で水と空気と微生物の動きが起きるのだそうです。
山の頂上付近や地表の土が、雨が降らずともしっとりと水分を含むのはこのためです。そうして地表近くまで引き上げられた水は、中木・低木や他の生物が使い、余った分は下へ下りる。
山の上から徐々に低いところへ下りて行き、最後は川の底から湧き出すのだそうです。
川の水は、こうした伏流水で清められ、水量調整をされながら、海に至ります。
これが、大地が健全であるために、山から川から海までつながるメカニズムです。
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これが崩れるとどうなるか、という話をまたの機会に書ければと、思います。
画像:「よくわかる土中環境」高田宏臣 より
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