昨秋ひなたデザイン設計で開催した「思わずうなる古民家ツアー」で古民家を眺めた時に改めて感じたことあります。
多くの古民家には茅葺屋根がかけられています。
茅葺屋根は何でできているかご存じですか。
答えは、多くの場合、ススキです。
そして、ススキの下の骨組みには多くの場合、竹が使われます。
なので私は、茅葺屋根はススキと竹でできている、というイメージを持っていました。
しかしもう1つ重要なアイテムがふと私の目に止まりました。
それが縄、です。
茅葺屋根を内側から眺めると、それはもうたくさんの縄でぐるぐると巻かれ、竹やススキがそれで固定されているのが見えます。
現代では縄と言えば、既にぐるぐる巻きにされたものが大量に店先に並んでいます。安価で誰にも使いやすいアイテムです。しかしよくよく考えると、江戸時代の縄はすべて手でなっていたはずです。今更ながらこれだけの縄をすべて手でなったのだなぁと思い、かけられた労力に感心したというわけです。
縄ないは農家で農閑期に行われた作業でしたが、恥ずかしながらこれまで、ちょっとした手仕事というイメージでした。しかし、これなしでは屋根をかけられない、重要な仕事であったことも再認識しました。
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その後少しして読んだ『週末の縄文人』という本の中では、著者の縄(じょう)さんが縄のことを、「最も偉大な発明」と賛美しています。
「ちょっとやそっとじゃ切れない丈夫さと、複雑な結びを可能にする柔軟性を兼ね備えた美しき人工物「ヒモ」」、と。
縄をなったことがある方はわかると思いますが、縄ないは至ってシンプルな作業、ねじってねじってぐるっ、の繰り返し。これによって、ぶちっと切れてしまっていた自然の繊維が、引っ張っても切れない、しかも長くつながるものになります。色々な思考錯誤の末に
「ヒモ」に辿り着いた縄さんの言葉を読み、私もとても共感したのでした。
これは、原始の時代までさかのぼる伝統技術ですね!
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